About Yusuke Shibata (HULS GALLERY TOKYO)

柴田裕介。HULS GALLERY TOKYO代表。1981年生まれ。立教大学社会学科卒。日本工芸の国際展開を専門とし、クリエイティブ・ビジネス面の双方における企画・プロデュースを行っている。日本工芸ギャラリー「HULS GALLERY TOKYO」「HULS GALLERY SINGAPORE」のキュレーション全てを手がけ、東京とシンガポールを拠点に活動を行う。またオンラインメディア「KOGEI STANDARD」の編集や工芸ブランド「KORAI」のブランドプロデュースも行っている。

待つことの美学

学生時代、社会学を学んでいた私は、鷲田清一という日本の臨床哲学者の本を読み漁った。その中に、『「待つ」ということ』という題の本があり、今でも記憶に残っている。 現代人は、待つことに不慣れになってきている。欲しいものはインターネットですぐに手に入るし、携帯電話は待ち合わせの時間を無くしてしまった。暇なときは、スマートフォンで時間をつぶし、周りを見渡すことなく、常に何かに繋がっていないと落ち着かない。そんな時代になってしまった。便利になったと言えば聞こえはいいが、待つことはそれほど無意味なものだろうかと、ふと疑問に思ってしまう。 ギャラリーでお客様に工芸品について説明をする際、工芸品にはたくさんの魅力があるが、時間がかかる点だけは理解してほしいとあらかじめ伝えるようにしている。効率化が求められる世の中には逆行することだが、工芸にとっては本質とも言えるくらい大切なことであるようにも思う。例えば陶磁器の場合、登窯や穴窯を用いる作家は、年に数度しか窯を焚かないことも多く、その時期を逃せば、次に作品に出会えるのは一年後ということもある。また、漆器も、工程の多い輪島塗などは、発注から納品まで半年かかることも珍しくない。移り変わりが激しい世の中では、多くの人が疑問を感じることであろうが、むしろ待つことを前向きに感じてもらうことが、工芸に向き合う心構えなのではないかと思っている。 待つ時間と言えば、お茶や珈琲を淹れる時間も思い浮かぶ。茶葉や珈琲豆を蒸らす時間はほんのわずかだか、ゆっくりと待つ時間は心地がいい。工芸において、用の美は大切だが、使うことと同じく、工芸品が作り出す時間や空間にも、人生の豊かさはあるものなのだ。 思えば、ミケランジェロの代表作である『最後の審判』は5年の歳月をかけて制作されたと言われている。昔の芸術作品には、それ以上に時間を費やしたものも少なくない。そうしたものが今の時代にまで語り継がれている。工芸品も日常的に使っていただくには、効率的に作り、適度な価格で販売する努力は必要だが、時間をかけてこそ美しいものも、少しばかりはあってもいいとは思う。そのどちらもが工芸にとって必要な要素なのだろう。 待つということは、決して時間を失うことではなく、未来を思い浮かべる贅沢な時間なのかもしれない。工芸品を通じて、そんな時間をお届けできたらと思っている。 文:柴田裕介

2020-08-12T09:11:12+09:002020/08/12|

KORAI新作「水の器(L)」の発表展示開催のお知らせ

HULS GALLERY TOKYOでは、2020年8月8日(土)より、工芸のオリジナルブランド「KORAI(コライ)」の新作アイテム『水の器(L)』の発表を記念し、空間デザイナー 松村和典氏が手掛ける特別展示を開催します。 「KORAI」は、暮らしの中で自然を感じることにより、新たな感覚の扉を開くアートピースを「センスウェア」として提案しています。このたび、2018年に第一弾のセンスウェアとして発表した『水の器』に、大きなサイズ 『水の器(L)』が登場。『水の器』が持つ涼やかで凛とした佇まいを残しながらも、存在感のあるサイズや従来 のクリアーに新色のブルーとグレーを追加した3色のカラー展開で、水や風、光の揺らぎや移ろいが映し出す豊麗な表情をより感じることができます。 KORAI 特別展示「水の器展 [...]

2020-08-05T09:36:57+09:002020/08/04|

営業時間短縮のお知らせ

日頃よりHULS Gallery Tokyoをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大を受け、8月3日からの営業時間を短縮させていただきます。 ギャラリー営業期間:10時 - 17時 ご来店を予定されている方には、大変ご迷惑をおかけしますが、ご理解いただけますようお願い申し上げます。

2020-08-01T01:45:45+09:002020/08/01|

新サービス「KOTENRA -Just For You-」ご案内ページ公開のお知らせ

「KOTENRA -Just For You-」は、ハンドメイドジュエリーブランドKOTENRAのカスタムオーダーサービスです。HULS GALLERY限定の新企画として、3月に始まりました。この度、本サービスの詳しい内容を掲載するページを開設いたしました。オンラインでのご相談も承りますので、ぜひご利用くださいませ。 [...]

2020-07-19T09:49:46+09:002020/07/19|

日本工芸のプレミアムギフトブック 「THE HULS GIFT COLLECTION」発行のお知らせ

HULS GALLERY TOKYOは、日本工芸のプレミアムギフトブック「THE HULS GIFT COLLECTION」の発行を開始します。日本各地の工芸品からギフトに最適な40品を厳選してご紹介する一冊で、個人の贈り物からコーポレートギフトまで、様々な贈答シーンにご活用いただける工芸品を掲載しています。 『THE HULS GIFT [...]

2020-07-31T05:28:00+09:002020/07/08|

遠方茶寮:一品目の料理レシピを公開しました

HULS GALLERY TOKYOは、2020年7月にオープン1周年を迎えます。これを記念して、国内外で活躍する料理家やシェフの監修のもと、ご家庭でも作れるワンランク上のコース料理レシピを紹介する架空ダイニング企画「HULS Inspirational Dining “遠方茶寮”」を開始します。 今夏のコースの一品目は、夏の前菜三種「とうもろこしのすり流し」。美しい工芸品とともに、涼しげなお料理をお楽しみください。 レシピを見る [...]

2020-07-06T04:56:48+09:002020/07/06|

HULS GALLERY TOKYO オープン1周年記念企画 「HULS Inspirational Dining “遠方茶寮”」

HULS GALLERY TOKYOは、2020年7月にオープン1周年を迎えます。これを記念して、国内外で活躍する料理家やシェフの監修のもと、ご家庭でも作れるワンランク上のコース料理レシピを紹介する架空ダイニング企画「HULS Inspirational Dining “遠方茶寮”」を開始します。 レシピは日英のバイリンガル表記で、HULS GALLERYのウェブサイトやSNSなどオンラインにて配信。HULS GALLERYが厳選した、陶磁器や漆器などの工芸品を使用したコーディネートもお楽しみいただけます。第1回目となる今夏のコースは、料理家として活躍する茂村美由樹氏に監修いただき、2020年7月6日に配信開始予定。日頃のご愛顧に感謝の気持ちを込めて、季節を感じる料理と器のコラボレーションをお届けします。 [...]

2020-06-30T00:41:58+09:002020/06/30|

「茶の器 2020 夏」開催のお知らせ

HULS GALLERY TOKYOでは、夏におすすめの、涼しげな茶器やうつわが入荷し、7月4日より「茶の器 2020 夏」を開催いたします。 常滑からは、朱泥とは趣の異なる白と銀の明るい色の茶器が届き、愛知県在住の陶芸家・樽田裕史の手による湯呑みと片口は、透かし彫りにした素地に透明釉をかけて焼成する「蛍手(ほたるで)」の技法を用いた、透明感あふれる佇まい。また、有田の李荘窯からは、新たに白磁槌目の宝瓶と湯呑が入荷。シンプルな中にも手づくりの良さを感じることができます。有田からはほかにも、光を通すほど薄い磁器「Egg Shell」シリーズのカップや、見た目も涼しい青白磁の菓子皿も到着。銅器で有名な高岡からは銅製のカップとコースター。冷たい飲み物はもちろん、アイスクリームなどのデザートもお楽しみいただけます。この機会にぜひギャラリーまでお運びください。 ギャラリー企画「茶の器 2020 [...]

2020-07-06T04:56:15+09:002020/06/29|

ぐい呑セレクションコーナー新設のお知らせ

HULS GALLERY TOKYOでは、今夏、ぐい呑セレクションコーナーを新設。日本各地の作り手、工芸作家の作品から厳選し、陶磁器、漆器、ガラスなどのさまざまな素材で作られたぐい呑を多数展示販売しています。季節や料理に合わせた日常使いの酒器として、ご家族・ご友人などへの特別なギフトとして、上質なぐい呑をお探しの方におすすめのセレクションとなっています。作り手の個性が映し出された作品の数々を、ギャラリーにてゆっくりとお楽しみください。 主な取り扱い工芸作家(五十音順): 安藤良輔(瀬戸)、加藤亮太郎(美濃)、木村展之(京都)、澤克典(信楽)、杉田明彦(金沢)、田中瑛子(加賀)、田原崇雄(萩)、徳永榮二郎(有田)、豊福博(備前)、畠中昭一(越前)、藤田祥(備前)、中里太亀(唐津)、中里健太(唐津)、山本英樹(武雄) *そのほか、工芸メーカー・ブランドの作品も多数取り揃えています。 [...]

2020-06-23T00:47:31+09:002020/06/22|

コラム:うつわの縁、人の縁

日本では、食器や花器を意味する「器」を、平仮名で「うつわ」と書くことがある。特にこの書き方に定義があるわけではないと思うが、平仮名で書くと文字が柔らかい印象になることもあり、陶器や焼き締めの和食器が好きな方はそのように表現することが多い。うつわというのは不思議なもので、縁を感じながら出会うものでもある。旅先で出会うものもあれば、展示や陶器市の際に幾多の作品の中から選び抜いたものもあるだろうが、そのどれもが不思議と縁を感じさせてくれる。そうした愛くるしい魅力が「うつわ」にはある。 HULS GALLERYは、うつわに限らず、織物や木工品など、様々な工芸品を扱うギャラリーだが、そうした縁の連続によって成り立っている点は、昔ながらのうつわ屋と同じだ。ギャラリーを訪れる方々からは、どのような基準で作品を選んでいるのかとよく聞かれるのだが、私たちの場合、一つ一つの作品を選んでいるというよりは、産地の作り手との出会いの連続によって、自然とこのような品揃えになってきたとお伝えすることが多い。また、取り扱いの経験が増えていくと、作品を見るだけで作り手の性格や個性がうっすらと感じられるようにもなり、それこそが、私たちの経験則なのかもしれないと思う。 結局は、私たちにとってのうつわの縁というのは、人の縁であるとも言える。工芸品の取り扱いには、作り手との対話は不可欠であるし、共に食事をしたり、同じ景色を眺めながら、その人の持つ人生観や美意識を知ることが、私たちにとっては大事な時間の一つでもある。私たち自身が産地に行くこともあれば、作り手の方々に東京やシンガポールまで来ていただくこともあり、共に語り合うたびに、縁を実感し、作品への愛着も深まっていく。私たちは、作品のみに向き合っているのではなく、こうして作り手にも向き合い続けているのだ。 私たちは工芸ギャラリーを運営しており、売り手であると同時に、日本工芸の歴史とその魅力を海外へと伝えていくという大きな使命を持っている。その魅力を伝えることなくただ展示して販売するだけなら、私たちの存在は無に近い。工芸品を売ることは、ただ右から左に物が移動することではなく、人から人へと、思いを伝えていくものでもある。作り手が「少しでも良いものを作りたい」と思う気持ち。その気持ちは、時に温かく時に重たく感じるものだが、私は、そうした形のないものの価値を心から信じている。一つの縁は、暮らしを変え、人生をも変える力がある。たった一つのうつわを売るときにも、そうした気持ちを忘れずにいたいと思う。 文:柴田裕介 作品:「玄釉片口酒器 玄釉盃」/山本英樹 [...]

2020-06-22T06:58:23+09:002020/06/10|
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