About hulsgallerytokyo

This author has not yet filled in any details.
So far hulsgallerytokyo has created 2 blog entries.

第一話:地域に根ざした日本の工芸

日本には、地域に根ざした伝統技法があり、それらの技法を用いて職人たちが一つ一つを丁寧に形作ってきたものづくりの文化があります。その多くは手仕事であることから、「手仕事=工芸」とする方もいますが、私自身は様々な産地を歩く中で、「地域に根ざしたものづくり=日本の工芸」なのだと感じるようになりました。 日本は自然豊かな島国であり、移ろう自然と調和しながら暮らす文化があります。山・川・海、それぞれには別々の暮らし方があり、そこにまた四季という季節の変化が加わり、小さな島国の中で多様な美意識が育ちました。そんな美意識が日本の工芸の原点にはあるのです。精巧な手仕事は世界中に数多く存在しますが、一つのそれほど大きくない国に、山・川・海・平地などが多様に存在する国はそれほど多くありません。そんな独自性が、日本固有の美意識を育んできたことは間違いないでしょう。 佐賀県の有田では、李参平によって良質な陶石が発見されたことから、磁器の製造が盛んになり、今では日本有数の磁器の産地となっています。輪島では、能登半島の荒波に負けない人々の気質が強固な輪島塗を生み出したのでしょうし、もちろん古都・京都では、雅な作品が重宝されたことは言うまでもありません。こうした地方の美意識一つ一つに触れることが、私にとっては大きな気づきであり、それは生涯続く学びとなるような気がしています。 私が「工芸」について尋ねられたときに、よく説明をさせていただくのが愛知県・常滑の「藻掛け」という技法です。常滑は海沿いの地域にあり、その地にあった藻を器に焼き付けることで模様としたものを「藻掛け」と言います。これは海沿いの地方ならではのものですし、手にとるだけで、海の香りを感じるようなそんな素敵な工芸品です。 ギャラリーでは、日本各地の工芸品に触れていただくことができます。鑑賞するだけでなく、手にとり、土や木、糸やガラスをそのまま感じてもらいたい。きっと、その手には何かが残るはずです。そうして、みなさんの日々の暮らしに、少しずつ自然との調和が生まれていくと嬉しく思います。 Text by Yusuke Shibata / [...]

2019-09-28T14:31:23+00:0014, Sep, 2019|