About Yusuke Shibata (HULS GALLERY TOKYO)

柴田裕介。HULS GALLERY TOKYO代表。1981年生まれ。立教大学社会学科卒。日本工芸の国際展開を専門とし、クリエイティブ・ビジネス面の双方における企画・プロデュースを行っている。日本工芸ギャラリー「HULS GALLERY TOKYO」「HULS GALLERY SINGAPORE」のキュレーション全てを手がけ、東京とシンガポールを拠点に活動を行う。またオンラインメディア「KOGEI STANDARD」の編集や工芸ブランド「KORAI」のブランドプロデュースも行っている。

暮らしの中で手を使うということ

人にとって、手を使うというのは、どういうことだろう。手で触れることで伝わるものは確かにあるし、手を使うことでさまざまなものを作り出すこともできる。文字を書くこと、服を縫うこと、楽器を弾くこと、料理をすること、そして陶磁器や漆器を作ること、それらはすべて手を使うことから始まっている。 タッチレスに向かう現代 ここ最近、日常で手を使うことの大切さを考えるようになった。きっかけは、新型コロナウイルスの出現により、ソーシャルディスタンスが推奨され、あらゆることが自動化やタッチレスに向かっていることだった。タッチレスでの決済や音声での入力はとても便利で、後戻りできるものでは決してないが、ふと気づくと、一日で手を細かく動かしているのは、パソコンとスマートフォンを使っているときのみという生活になってきている。このままいけば、手をほとんど使うことなく、一日を終える日も来るかもしれないとすら思う。 電子書籍と紙の本 人は手で道具を用いたことで脳が発達し、言語を獲得した。手を用いることは、それだけ人間という動物にとって、とても重要なことであったはずだが、私たちの現代の暮らしは急速に変化をしてきている。世の中は、さまざま技術で快適さや便利さを実現していく一方で、本来人に備わっていた手の感覚や能力がどこか置き去りにされているのではないだろうかと思う。例えば、電子書籍と紙の本。電子書籍は大量の本を持ち運べ、翻訳機能などもついた優れものだが、脳科学の世界では、紙の本のほうが記憶に残りやすいことがわかってきている。紙に触れながら読むことで、五感全体で記憶しているのだろう。学校の授業も、パソコンを用いた授業に変わってきているだけでなく、オンライン化も急速に進んだが、教育現場ではこうした変化による子供の学力の低下を心配する声もあるという。オンライン授業の利点は多いにあると思うが、一方で、身体や五感を用いた学習の大切さも、同時に浮き彫りになってきている。 うつわの手触り 食事の際の食器にも同じようなことが言える。自動で作られたプラスチックのお皿よりも、人の手で作られた天然素材の陶磁器や木のうつわで食事をしたほうが、印象に残りやすい。もちろん私自身がうつわが好きで、そこに意識が向かうこともあるだろうが、食事というのは、ただ味を楽しむだけのものではなく、手で触れることで、より一層その時間を味わい深くすることができる。お皿に独特の手触りや重さがあると、手が刺激され、それが記憶や感情に繋がっていくのだろう。特に日本の食文化は、お椀や鉢を手に持ちながら食べるため、食器の素材や形の良し悪しがとても大切になってくる。子供に天然素材のうつわやお箸を持たせるのは、食事に温もりを与えるだけでなく、手の感覚を養うことにも繋がっている。 私は、今年に入ってから、紙のノートに文字で日記を書くようになった。仕事では、パソコンやスマートフォンを活用してしまうが、私生活では手を使うことを意識し始めている。また、長く続いている毎日の日課の一つは、朝にドリップ珈琲を淹れることなのだが、手作業なので、同じ豆でも毎日少しずつ味が変わる。朝に淹れたてのドリップ珈琲を飲むととても気分が落ち着くが、手を使って淹れることで、ほんの少しの手や頭の運動になっているような気もする。他にも、抹茶を点てたり、絵を描いたり、楽器を弾いたりというのも良いと思う。朝起きて意識的に手を動かすということが、今の暮らしには大切なのではないだろうか。 人の手だからできること この先の未来は、自動化やタッチレスのような先端技術と、工芸品や紙の本のような手触りを追い求めたようなものとのハイブリッドな世の中になる。最近では、工芸品を購入するだけでなく、物を作るワークショップや自作キットも人気で、金継ぎや藍染体験は何ヶ月も予約が取れないほどの人気ぶりだ。日常生活で手を使わなくなった分、何かこうした機会に手を動かしたり、物を作り上げたりすることで、無意識的に人は身体のバランスを取っているようにも思う。こうして考えてみれば、手を使うということは人にとって特別なことであって、まだまだ多くの可能性も残されている。世の中がタッチレスに向かっていく時期だからこそ、人の手だからできること、人の手でしか伝えられないものを、今一度考える良い機会なのではないだろうか。 [...]

2025-01-16T09:39:18+09:002022/03/13|

塗師 冨樫孝男 作品展 『古今折衷』開催のお知らせ

福島県会津若松に 3 代続く「塗師一富」の当主として、漆芸作品の制作に励む冨樫孝男さん。玉虫の羽のように輝く塗りが美しい「会津玉虫塗」、金属のような質感が上品な「四分一塗」「鉄錆塗」など、さまざまな伝統技法を駆使し、西洋的なデザインも取り入れながら、漆の可能性を引き出す作品づくりを行なっています。本展では、酒器をはじめ、椀、プレート、箸、折敷などの食卓を彩る器や、小箱やアートピースなどインテリアのアクセントとなる作品 100 点以上を展覧。伝統と現代、西洋と東洋が交差する瞬間に生まれる表現を、ぜひご高覧ください。 ■ 塗師 冨樫孝男 作品展 『古今折衷』 [...]

2022-02-18T11:07:17+09:002022/02/18|

徳永榮二郎 作品展「季の流景」開催のお知らせ

佐賀県有田で作陶を行う徳永榮二郎氏の作品展を開催いたします。土と釉薬の組み合わせによる多彩な表現を得意とする徳永氏は、酒器や抹茶碗のほか、国内外の料理人のための器も数多く製作しています。本展では、徳永氏が試行錯誤の末に完成させた、平面に釉薬が美しく流れる丸盆皿をはじめ、数多くのこだわりの作品をご覧いただくことができます。この機会に豊かな釉薬表現の世界をお楽しみください。 ■ 徳永榮二郎 作品展「季の流景」 会期:2022 年 2 月 4 日(金)~ [...]

2022-01-25T16:40:37+09:002022/01/25|

作り手の声: 陶芸家/李荘窯 寺内信二さん <PART 1>

HULS GALLERY TOKYOでは、2021年11月に、有田焼窯元・李荘窯四代目当主である、陶芸家の寺内信二さんの個展「泉山への回帰」を開催いたしました。 本個展の関連企画として行ったトークセッションでは、古伊万里が原点となった寺内さんの作品づくりへの想い、産地での新たな陶土の開発についてお話いただきました。 *記事は前半(本ページ)と後半(後日公開)に分かれています。 - まずは寺内さんのご紹介からお願いいたします。 およそ60年前に有田に産まれて、大学は美大に進みました。親から窯を継ぐように言われたこともなく、あまり意識したことなかったのですが、高校3年になり進路を考える頃、継ぐのであれば、美術の勉強が必要だと思いました。 - 古伊万里の研究は、大学卒業後すぐに始めたのですか? [...]

2022-01-12T16:09:39+09:002022/01/12|

作り手の声:漆芸作家 田中瑛子さん

HULS GALLERY TOKYOでは2021年12月10日から25日まで、加賀で活動する漆芸作家、田中瑛子さんの個展「暁まで」を開催いたしました。その関連企画として、Zoomで田中さんのアトリエ訪問を配信。本インタビュー記事は、その内容をもとに作成したものです。 -愛知県のご出身とのことですが、石川県で活動されるようになったのはいつごろからですか? 大学で漆を始めて、より作品のクオリティを上げていこうと思い、卒業後に石川県へ移住しました。​​ -石川県は木地挽きが有名ですが、それを学ぶのが目的だったのでしょうか? そうですね。大学時代のもどかしさは、形を自分で作れなかったことでした。そこ(木地挽き)を自分でやれてこそ、より自分の感覚が活きてくるのではないかということで、この場所を見つけました。 -そこで、木地挽きから漆塗りまでを手がける瑛子さんのスタイルができあがったのですね。プロフィールによると、2012年に独立され、「工房あかとき」を設立。その後、東京、NY、インドネシアなどの海外でも展示・技術指導されています。 はい。日本の伝統技術はなかなか外に出ることがありません。でも、外国の職人さんは興味をすごく持っていたりする。そこに新しい道があったと言えるかもしれません。交流することで私自身も刺激を受けます。私が自由な形の漆器を作るようになったのも、それまで日本の伝統的なルールを意識する生活しかしていなかったけれど、海外に行って、海外の自由な発想に刺激をもらったからです。 -私たちも瑛子さんとシンガポールで出会いました。2018年の後半くらいでしたね。そのときをきっかけに、色々な作品を見せていただいて。シンガポールで作品を展示・販売し、その後、東京でも作品展をさせていただきました。 [...]

2022-01-12T16:06:31+09:002022/01/12|

作り手の声:陶芸家 鈴木大弓さん

HULS GALLERY TOKYOでは、陶芸家 鈴木大弓さんの作品のお取り扱いをスタートしました。鈴木さんは宮城県仙台市生まれ。大学在学中より作陶を始め、韓国にて修行を積んだ後、滋賀県信楽町にて独立。現在は三重県伊賀市に工房を移し、粉引をはじめ、刷毛目や三島、信楽の土を用いた焼締など、多彩な作品を制作されています。 今回は、そんな鈴木さんの陶芸家としてのルーツや現在の作陶活動についてお話を伺いました。 - 陶芸の道に入ったきっかけを教えてください。 大学の陶芸サークルです。特に器が好きだったわけではないんですが、大学2年生の終わりくらいに「このままだと大学生活遊んで終わっちゃう。何かやろう」と思って陶芸を始めたら、夢中になって抜けられなくなりました。 - 大学卒業後は韓国で修行を積んでいらっしゃいますが、韓国へ行こうと決心されたのはなぜですか。 [...]

2022-01-12T16:02:05+09:002022/01/12|

年末年始営業のお知らせ

HULS GALLERY TOKYO は、年内は12月30日(木)まで、年明けは 1 月 5 日(水)より営業いたします。1 月のギャラリーは飯碗や汁椀、茶器や酒器など、寒い季節におすすめの器を中心に展示・販売いたします。来年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

2021-12-25T15:02:47+09:002021/12/25|

「オンライン・アトリエ訪問 〜漆芸作家 田中瑛子さん~」動画公開中

HULS Gallery Tokyoで開催中の個展の関連企画として、田中瑛子さんのアトリエ「Gallery and Salon 漏刻」からZoomでアーティストトークを配信いたしました。その動画を期間限定で公開いたします。 田中さんのお話に耳を傾けながら、普段はなかなか見ることのできないアトリエの雰囲気をお楽しみください。 下記のリンクよりご視聴ください。 ***ZOOMリンク*** ■動画公開期間:2021年12月25日(土)まで [...]

2021-12-17T09:21:30+09:002021/12/16|

「オンライン・アトリエ訪問 〜漆芸作家 田中瑛子さん~」

HULS Gallery Tokyo で開催する個展の関連企画として、田中瑛子さんのアトリエ「Gallery and Salon 漏刻」を Zoom でご紹介いたします。作品が生まれる場を感じながら、田中さんのお話をうかがいます。 ■開催日時:2021年12月15日(水) [...]

2021-12-09T11:01:24+09:002021/12/09|
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