2020・秋のおまかせコース
「秋麗(あきうらら、しゅうれい)」
日本の食材を大切にした特別なコース料理を、日本の各地域に根ざした美しい工芸品とともに。第 2 回目の配信となる秋のコースでは、一口料理を立体的に引き立てる高岡銅器の小皿、お酒に浮かぶ月が美しい越前漆器の酒器、花のような結晶釉が魅力の京焼の蓋物、現代の技術で伝統技法「鎬」を表現した有田焼のプレートなどを使用します。
食前酒
菊花酒
秋のお料理は菊花酒からスタート致します。
旧暦の 9 ⽉ 9 ⽇*は重陽の節句の⽇とされており、別名『菊の節句』とも呼ばれ、菊の花が主役となる⽇です。
陰陽思想では奇数を『陽』とし偶数を『陰』として縁起の悪い数字として考えました。そのため桃の節句である3⽉ 3 ⽇、端午の節句の5⽉5⽇、七⼣の7⽉7⽇など奇数が並ぶ⽇で邪気払いとお祝いを⾏なっていました。中でも9⽉9⽇は奇数の中で⼀番⼤きな数字が並ぶ 1 年で最もめでたい⽇として邪気払いとお祝いが⾏なわれてきたのです。
菊の花には寿命を延ばす⼒が宿ると考えられており、平安時代から重陽の節句に菊酒を飲む⾵習がありました。菊の花を蒸し冷酒に⼀晩漬け、⾹りを移したものが、健康⻑寿を祈りながら飲まれていたようです。
現在では⾷⽤の菊の花びらを浮かべて飲まれることが多くなってきました。
また、秋は暑い夏が終わり空気が徐々に冷たくなり空が⾼くなり、空気が澄んで⽉が綺麗に⾒えるようになる季節でもあります。
この酒器に描かれている⽉を愛でながら、菊花酒を飲むことで⼼を穏やかにし、お⾷事を召し上がって頂きたいとの思いを込めました。
*旧暦の9⽉9⽇は現在の10⽉中旬ごろ